令和7年度の労災補償状況が公表されました

先日、令和7年度の労災補償状況が公表されました。
精神障害による労働災害の請求件数、認定件数は今回も過去最多を更新しました。とくに請求件数が大幅に増え、4,958件となりました。

また、出来事別の支給決定件数では上位は以下のようになります。上位3つをパワハラ、セクハラ、カスハラのハラスメントが占める結果となりました。

  • 上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた…222件
  • セクシュアルハラスメントを受けた…127件
  • 顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた(いわゆるカスハラ)…127件

一方、決定件数全体に占める支給決定件数(認定率)についても見ていくと、新たな事実がわかります。
認定率は全体では28.2%でしたが、支給決定件数の上位3つであるハラスメント関連の認定率はいずれも50%を超えました(パワハラ55.1%、セクハラ54.5%、カスハラ52.9%)。一方、
「上司とのトラブルがあった」3.4%
「同僚とのトラブルがあった」1.9%
「部下とのトラブルがあった」10.7%
と、職場の対人関係上のトラブルだけでは認定率が低くなる傾向があるようです。上司との問題でも、パワハラと認定された事案については高い確率で労働災害と認定された一方で、そうでない事案については労働災害と認定される確率がかなり低くなるようです。パワハラと認定されるかどうかは令和5年9月1日付「心理的負荷による精神障害の認定基準について」別表1により判断されますので、この基準でパワハラと認められるようなケースでは労働災害と認められる可能性も高くなると考えられます。

また、不支給を含めた決定件数全体では「上司とのトラブル」が群を抜いて多いこともポイントです。最終的には労災と認定されなかったものの、メンタルヘルスの問題で休職したり退職した従業員が原因を職場(上司)に求めて労災申請するケースが非常に増えてきているものと考えます。10年前と比べると「上司とのトラブルがあった」の決定件数は4倍以上になっています。
会社としては、管理職に対するハラスメント研修を行う一方で、そもそも部下がメンタル不調にならないようにストレスチェックなど予防の取り組みに力を入れることがリスク対策としても重要になってきています。メンタルヘルス不調の予防対策でお困りの方はお気軽にお問い合わせください。

社労士 山中健司

社労士 山中健司

東京都社会保険労務士会

この記事の執筆者:社労士 山中健司

EAP会社で18年間、ストレスチェック関連の業務に従事した豊富な経験をもとに企業のストレスチェック制度導入を支援し、企業のメンタルヘルス対策・健康経営の推進をサポートします。 社労士として、従業員が安心して思い切り働ける職場作りをサポートします。