ストレスチェック制度が事業場で機能するか否かは、「初回の周知」が肝心です。これからストレスチェックに取り組む事業主の方などにとってご参考になれば幸いです。
ストレスチェックで直面しがちな2つの課題
2015年から50人以上の事業場ではストレスチェックの実施が義務付けられていますが、実態としては上手くいっている事業場とそうでない事業場に分かれます。上手くいっていない事業場は、以下の2つの課題があることが多いです。
・回答率が低い、または適当に回答する
労働者にはストレスチェックの受検義務が無いため、企業ごとの回答率には大きなばらつきがあります。ほぼ全員が回答する事業場もあれば、回答率が50%に満たない事業場もあります。回答率が低い事業場では、個人のストレスへの気付きが得られないばかりか、集団分析の結果も精度が悪くなり、制度が機能不全に陥ってしまいます。
・適当に回答する
回答はされていても適当に回答されていることも多いです。ストレスチェックの調査票はシンプルなため、「このように回答したら高ストレスになる」ことが回答者にも容易に類推できます。そのため、意図的にストレスが低い結果になるように回答する人がいます。また、「全部1」「全部4」のようにすべての質問に対し同じ回答を選択する人も存在します。
・ストレスチェックを受けるだけになっている
ストレスチェックを受けて結果を通知されてもどう対応すればよいかわからず、ストレスチェックを受けるだけになっていることが多いです。多くのケースでは、ストレスチェックを受けた後の対処方法として「医師面接の申出」しか示されておらず、医師面接以外の対処方法が示されていないことがあります。
なぜ従業員への周知が重要か
上記の課題はいずれも、従業員にとってストレスチェック制度が「よくわからない」ことが背景にあります。とくに以下のような誤った認識を持たれてしまうと、従業員が回答しなかったり、適当に回答してしまうことにつながります。
- 自分の結果が会社に漏れるかもしれない
- 高ストレスと判定されると医師面接を受けなければならないから面倒だ
- 自分にはメンタルヘルスの心配が無いから意味がない
事業場として初めてストレスチェックを実施する時にはこうした従業員の誤解を解くことが非常に重要になります。そのためには従業員への周知をしっかり行うことが必要になります。
従業員へ周知する際のポイント
従業員に周知をする際には、実施期間や実施方法といった基本的な情報に加えて、以下のようなポイントを押さえておくことが重要になります。
周知のポイントと内容(例)
- 個人結果の取り扱い
本人の同意がない限り会社には開示されないこと。集団分析は個人の結果が特定されない方法で行われること。 - 医師面接の制度や個人情報の取り扱い
医師面接は申出をした者だけが受けること。医師面接を受けた場合、医師からの意見を受けて就業上の措置が図られること。また、申出をしたことや医師からの意見は会社が把握するがその情報は厳格に管理され、不利益な取り扱いはされないこと。 - 医師面接以外の対処方法
医師面接以外にも、会社に知られずに利用できる相談窓口があること。また、自分で好きな時に好きな方法でできるセルフケアの方法。メンタルヘルスの問題はすべての労働者に関わる問題であること。
また、周知の方法についても工夫が必要です。メールや文書の配布だけでは従業員に十分理解されないことがあります。
可能であればミーティングの中で説明することがのぞましいです。理想的には、ストレスやセルフケアの基礎的内容を含めて集合研修を行うことをおすすめします。
弊事務所ではストレスチェック制度の導入をご支援しております。
ストレスチェックを始めるにあたり、ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
社労士 山中健司
東京都社会保険労務士会
この記事の執筆者:社労士 山中健司
社労士の業務を通じて、従業員が安心して働ける職場作りをサポートします。また、人材マネジメントや健康経営に関する知見を活かし、従業員が健康で思い切り働ける環境作りをサポートすることで企業の生産性向上にも貢献いたします。



