今回は、「調査票及び高ストレス者の選定方法の決定」(小規模向けマニュアルP.16)について見ていきます。
事業者は、ストレスチェックの調査票、調査形態及び高ストレス者の選定方法について決定します。しかし、外部委託を前提とすると、外部委託先が決まった時点で対応できる調査票の種類や調査形態、高ストレス者の選定方法は限定されます。外部委託先が決まっていれば、その外部委託先が提供する調査票の内容や高ストレス者の選定方法を確認するステップとなります。
調査票の決定
厚生労働省が推奨している調査票は、「職業性ストレス簡易調査票」(57項目)です。2015年の労働安全衛生法改正でストレスチェックの実施が盛り込まれた際、調査票として推奨されたのがこの57項目の職業性ストレス簡易調査票であったため、現在企業で行われているストレスチェックの多くはこの職業性ストレス簡易調査票が採用されています。
詳細は別コラム「職業性ストレス簡易調査票(57問)について」をご参照ください。
多くの外部委託先もこの57項目版職業性ストレス簡易調査票に対応しており、57項目以外には対応していない(選択肢が無い)外部委託先もあります。とくにこだわりがなく、外部委託先が57項目での実施に対応していれば、57項目による実施で問題無いと思います。
57項目以外の調査票でも良いか
ただし、すべての事業所が57項目を使わなければならないわけではありません。ここでは、57項目以外の代表的な調査票を紹介します。
職業性ストレス簡易調査票・短縮版(23項目)
職業性ストレス簡易調査票の質問を23項目に削減したものです。質問数が少ないため、より短い時間で回答が完了します。ただし、質問数が少ないため、ストレスの原因、ストレス反応、周囲からのサポートいずれも得られる情報量は少なくなります。集団分析については、57項目の場合と同じ「仕事のストレス判定図」は作成できますが、詳細な分析はできないことに留意が必要です。
新職業性ストレス簡易調査票
新職業性ストレス簡易調査票(80項目・120項目)は57項目での測定項目に加えて「ワーク・エンゲイジメント」「職場の一体感」等を測定することができます。ストレスの問題のみならず、働きがいの状況を把握し高めたい場合には有力な選択肢となります。ただし、質問数が多い分、回答にかかる時間は長くなります。
一般に質問数が多いほど、回答にかかる時間は長くなりますが、測定できる項目数が増えたり、項目数は同じでも精度(信頼性)が高まります。質問数が少なくなるほど、回答にかかる時間は短くなりますが、測定できる項目数が減少したり、精度が低下します。
その他の調査票
外部委託先によっては、これらのいずれにも当てはまらない独自の調査票を持っているところもあります。この場合は、以下の点について確認しましょう。小規模向けマニュアルの巻末資料「サービス内容事前説明書」にも記載があります。
法令の要件(ストレス要因、心身のストレス反応、周囲のサポートの3領域を含む)を満たしているか
科学的な根拠が示されているか
「法令の要件を満たしているか」について、詳細は別コラム「ストレスチェックで測っている「3つの領域」」をご参照ください。
「科学的な根拠が示されているか」については、設定された尺度の信頼性、妥当性といった情報や、予備調査として行われた調査のサンプル数などをもとに評価します。
高ストレス者の選定方法の決定
高ストレス者の選定方法も調査票と同様、外部委託先によって対応できる方法が限定されます。委託を検討している外部委託先から、サービス内容事前説明書等の資料により示してもらいましょう。
57項目の職業性ストレス簡易調査票の場合、高ストレス者の基準も厚生労働省の実施マニュアルに準拠したものがあります。その1とその2の2通りあり、基本的な考え方は同じですが、その2の方が高ストレス者の出現率が若干高いというデータもあります。詳細は別コラム「高ストレス者について(2/2)合計得点法と素点換算法」をご参照ください。
外部委託先が独自の高ストレス者基準を持っている場合は、その判定方法、高ストレス者出現率のデータを示してもらい確認しましょう。
社労士 山中健司
東京都社会保険労務士会
この記事の執筆者:社労士 山中健司
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