今回は、私がメンタルヘルスの業界に転職した経緯について書きたいと思います。
私が新卒で会社に入社したのは1999年でした。当時はまだメンタルヘルスの問題で会社を休むということが現在ほど問題にされていませんでした。メンタルヘルスの問題は会社の問題ではなく個人の問題という認識が強く、ストレスに弱い一部の人が不調になるもので、人によっては甘えと見られることも多かった時代でした。そんな中、職場の同僚や友人が相次いでメンタルヘルスの不調で会社を休んだり、退職しました。私は休職するまでには至らなかったものの、精神的に辛いときは会社を休みがちになることもありました。身の周りだけでなく、うつ病で会社を休む人が急増しているというニュースを見るにつけ、これは個人の問題というよりも、会社の問題、経営の問題として捉えるべきではないかと思うようになりました。
また個人的には、母が長年躁うつ病(双極性障害)を患っていたことも背景にありました。母親自身も苦しんでいましたが、父をはじめとする同居の家族が非常に苦労することを身をもって経験しました。メンタルヘルス不調の問題は、本人だけでなく家族も巻き込んでしまうため、社会的な損失の大きさがもっと問題にされるべきで、もっと予防に取り組むべきであると思いました。
大きな転機は退職後に通ったMBAでの2年間でした。当時在籍していた一橋大学大学院MBAコースのOB会長がストレスチェックサービスを手掛ける(株)ライフバランスマネジメント(LBM。現在は(株)アドバンテッジリスクマネジメント)に所属しており、MBAの学生にインターンのご案内をいただいたので、それに応募しました。そのご縁で、MBA終了後も社員としてお世話になることになりました。LBMはストレスチェックとeラーニングを組み合わせたMTOP(エムトップ:Mental Toughness Orientation Program)というサービスを提供しており、私はその運用サポートやコンサルティングの仕事を担当しました。当時はストレスチェックが義務付けられる前でしたのでそのようなサービスを導入する企業は一部でしたが、その分、メンタルヘルス対策に前向きな企業の契約が多く、我々提供者側よりも熱意のある担当者も企業におり、こちらも仕事をしながら勉強させていただくことが多かったです。当時LBMの代表であった渡部卓さんとは現在でも親しくさせていただいております。

社労士 山中健司
東京都社会保険労務士会
この記事の執筆者:社労士 山中健司
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