ストレスチェックについて

今回のテーマは、私の得意とする領域であるストレスチェックとしたいと思います。

先日、労働安全衛生法を所管する厚生労働省の労働政策審議会は報告書をまとめ、現在50人以上の事業所に義務付けられているストレスチェックについて、対象をすべての事業所に拡大する方針が示されました。今後法案が国会に提出されることになり、順調に行けば現在開会中のの通常国会で可決となる可能性もあります。

現在50人以上の事業所に義務付けられているストレスチェックは要約すると以下のような内容となっています。

  • メンタルヘルス不調の未然防止(一次予防)を目的とする
  • 常時使用する労働者に対し1年以内ごとに1回実施
  • 検査項目は、①心理的な負担の原因に関する項目②心身の自覚症状に関する項目③職場における他の労働者による支援に関する項目
  • 心理的な負担の程度が一定程度あるもの(高ストレス者)が医師による面接指導を希望する旨を申し出たときは、医師による面接指導を実施
  • 事業者は面接指導を実施した医師の意見を聴き、必要があるときは就業上の措置を図る
  • 事業者は検査結果等報告書を所轄労働基準監督署に提出する

また、ストレスチェックの集団分析結果を活用し、職場環境の改善を図ることが努力義務とされています。

冒頭の報告書によると、とくに50人未満の事業場に即した実施マニュアルを厚労省が整備することが盛り込まれているほか、労働基準監督署への報告義務は課されないことになりそうですが、おおむね50人以上の事業所に義務付けられている枠組みを踏襲する形になると予想されます。前回(50人以上義務化)の経緯を振り返ると、実施マニュアルや運用に関する詳細、Q&Aなどが法案が可決してから明らかになるものと思われます。

通常国会での審議が順調に進めば、2025年6月までの会期中に可決する可能性があり、可決すれば一定の周知期間を経て施行となると予想されます。
前回(50人以上義務化)の時は2014年6月に法案が可決してから約1年6か月の周知期間を経て、2015年12月から施行されました。
ストレスチェック関連の情報については今後も随時更新していきたいと思います。

社労士 山中健司

社労士 山中健司

東京都社会保険労務士会

この記事の執筆者:社労士 山中健司

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