2026.10.26

【ストレスチェック】50人以上の事業場と50人未満の事業場の違い

2028年(令和10年)4月から50人未満の事業場においてもストレスチェックの実施が義務付けられます。基本的には現在実施されている50人以上の事業場の制度とほぼ同じですが、50人未満の事業場では法令上の義務や個人情報の取り扱いで若干の差異があります。今回は50人以上の事業場と50人未満の事業場におけるストレスチェックの違いについて主要な点を整理します。

個人情報の取り扱いに関する違い

実施事務従事者は社外に置く

50人以上の事業場では実施者の指示を受けて動く実施事務従事者を社内に置くことが想定されていました。実施事務従事者は個人結果を閲覧、管理することができます。
50人未満の事業場では労働者が安心してストレスチェックを受けられるよう、実施事務従事者を社内に置かず社外(外部機関)に置くことが前提とされました。したがって、ストレスチェックの個人結果を閲覧できる者は社内にいないことになります。
詳しくは→弊事務所コラム「実施体制」

医師面接の申出=個人結果の開示に同意ではない

50人以上の事業場では医師面接の申出があった段階で、労働者の個人結果を事業者(会社)に開示することに同意したとみなす運用が一般的です。
50人未満の事業場においては、医師面接の申出にあたって事業者が個人のストレスチェック結果の提供を受けることは想定されない、とされました。医師面接の申出をした場合でも個人結果を事業者に開示しなくて済むようにすることによって、安心して医師面接の申出を行えるようにするねらいがあるものと考えられます。

その他法令上の義務や運用に関する違い

労働基準監督署への報告義務が無い

50人以上の事業場ではストレスチェックの実施結果を労働基準監督署へ報告する義務があります。
50人未満の事業場ではこの報告義務が課されていません。これは定期健康診断でも同様の対応となっています。

「衛生委員会における調査審議」が無い

50人以上の事業場ではストレスチェックの実施方法等について、衛生委員会で調査審議することとされています。
50人未満の事業場では衛生委員会の設置義務がありません。代わりに、実施体制や実施方法等について労働者の意見聴取をすることとされています。
詳しくは→弊事務所コラム「労働者の意見聴取」

外部機関を経由して医師面接の申出を受け付ける

50人以上の事業場では、医師面接の申出先は事業者(会社)の担当者のみが想定されていました
50人未満の事業場では労働者が安心して申出ができるよう、医師面接の申出を外部機関に対して行う流れが示されました。ただしこの場合も医師面接は事業者が手配するため、申出が行われたことが事業者に報告されるようになっています。
詳しくは→弊事務所コラム「医師面接の申出、実施」

医師面接の依頼先として地域の産業保健センターを利用可能

50人以上の事業場では医師面接の申出があった場合、主として事業場の産業医に医師面接を依頼していました。
50人未満の事業場では事業場の産業医がいないことが多いため、地域の産業保健センター(地さんぽ)に医師面接を依頼することができます。地さんぽの医師面接は無料で利用できますが、地域によっては混雑することも予想されますので、外部委託先に依頼することも検討する余地があります。
詳しくは→弊事務所コラム「医師の面接指導依頼先の選定」

参考:労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル(令和3年2月改訂)
小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル(令和8年2月)

社労士 山中健司

社労士 山中健司

東京都社会保険労務士会

この記事の執筆者:社労士 山中健司

EAP会社で18年間、ストレスチェック関連の業務に従事した豊富な経験をもとに企業のストレスチェック制度導入を支援し、企業のメンタルヘルス対策・健康経営の推進をサポートします。 社労士として、従業員が安心して思い切り働ける職場作りをサポートします。