今回は、ストレスチェックの実施体制(小規模向けマニュアルP.11~12)について見ていきます。
実施体制(大規模事業場の場合)
前提として、大規模事業場の実施体制についておさらいしておきます。

図:ストレスチェック制度の実施体制イメージ(労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアルより)
まず実施者を選任することが必要です。実施者は医師、保健師その他一定の研修を受けた有資格者を選任する必要があり、この実施者がストレスチェックの企画や個人結果の評価などの業務を行います。そしてこの実施者の事務を補佐するため、実施事務従事者を選任することができます。具体的には調査票の回収やデータの管理を行います。
また、事業場のストレスチェック実施の事務局的な役割として、ストレスチェック制度担当者というものがおかれています。ストレスチェック制度担当者はストレスチェックの実施計画を策定したり、実施の管理をすることとされています。
大規模事業場の場合、実施者は会社の産業医、実施事務従事者は産業保健スタッフ、ストレスチェック制度担当者総務課の安全衛生担当者となることが一般的です。小規模で産業保健スタッフがいない会社では、このストレスチェック制度担当者が実施事務従事者を兼任することも多いです。
大事な点は、実施者や実施事務従事者はストレスチェックの個人結果を取り扱うという点です。ストレスチェック制度では個人の結果は会社に知られないという大前提があるため、ストレスチェックの個人結果を扱うことができる役割は限定されています。実施者、実施事務従事者は役割として、医師面接の対象者を確定し、本人に通知する必要があるので、個人の結果を閲覧することができます。一方、ストレスチェック制度担当者は、未回答者を把握する目的で、従業員が受検したかどうかの情報は把握しますが、個人結果は見ることができません。
実施体制(小規模事業場の場合)

図:ストレスチェックの実施を外部委託する場合の実施体制(イメージ)(小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアルより)
そのうえで今回の小規模向けマニュアルで示された実施体制を見ていくと、この実施者と実施事務従事者は外部機関におかれています。なお、ストレスチェック制度担当者は「実務担当者」という名称に変更になっていますが位置づけは同じです。
実施者については、ほとんどの小規模事業場では産業医がいないことから外部機関の有資格者を活用する形となっています。また、個人結果を見られる実施事務従事者が社内にいると、安心して回答ができないおそれがあることから、実施事務従事者も外部機関におくこととされたものと考えられます。したがって、小規模事業場が社内で確保しなければならないのは、この実務担当者のみということになります。
この実務担当者を誰にするかについてですが、とくに必要な資格はありません。また、人事権を持つ人でもかまいません。衛生推進者やメンタルヘルス推進担当者をおいていれば、その人に担当してもらってもいいと思いますし、小さな会社であれば、総務課長や、場合によっては、社長が自ら行うということもあると思います。もちろん、ストレスチェック制度担当者がストレスチェック制度の導入や運用で大きな役割を果たすことになりますので、ある程度業務の負荷がかかることも考慮して、決定する必要があります。
社労士 山中健司
東京都社会保険労務士会
この記事の執筆者:社労士 山中健司
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