今回は、「調査票の配布・回収・受検勧奨」、「ストレスチェック結果の通知」(小規模向けマニュアルP.17,P.18)について見ていきます。
基本的な考え方
ストレスチェックの個人の回答および個人の結果は、実施者と労働者の間で直接やり取りする形となっています。これは、労働者の個人結果が会社や管理職に知られ、人事上の不利益な取扱いにつながるのを防止するためです。

そのため、実施の流れは以下のようになっています。
- 実施者が労働者に調査票を配布
- 労働者が調査票に回答し実施者に送る
- 実施者が労働者へ結果を通知する
- 医師との面接が勧奨される労働者に対し、実施者が労働者にその旨を伝える
なお、実施者や実施事務従事者でない会社の担当者でも、労働者がストレスチェックに回答したか否かを把握することは可能です。会社の担当者が回答状況を見て、労働者に対して受検を勧奨することがあります。
このようにして、労働者の個人結果は本人の同意が無い限り事業者には知られないようにして、労働者のプライバシーが保護される形となっています。
そのうえで、実際のストレスチェックの実施から結果の通知、医師面接の勧奨の流れを見ていきます。
WEB(PC・スマホ)実施の場合
WEBで回答する場合の一般的な流れは以下のようになります。

- 実施者の所属する外部機関から労働者に対し、ストレスチェックの開始を案内するメールが送信されます。一定期間経っても労働者がストレスチェックに回答しないと、受検を促すメールが送信されることもあります。
- 労働者がPCもしくはスマホで調査票に回答します。
- 回答直後に画面上で結果が表示されます。
- 高ストレス者に該当する場合は医師面接の勧奨があります。医師面接の勧奨は画面上で行われることもあれば、別途メールで連絡されることもあります。
なお、事業者に所属する実務担当者でも、ストレスチェックシステムの管理画面で回答状況を確認し、未回答者に対して受検勧奨するメールを送信することがあります。
紙で実施する場合
紙で回答する場合の流れは以下のようになります。

- 外部機関から事業者に対し、白紙の調査票が送付されます。
- 事業者は労働者に調査票を配布します。事業者は労働者の提出状況を確認し、調査票に回答していない労働者には適宜回答を促します。
- 労働者は紙の調査票に回答を記入します。回答内容も個人情報にあたるので、封筒に封かんしたものを事業者に提出します。
- 事業者は回答済みの調査票を封かんしたままとりまとめ、外部機関に送ります。
- 外部機関は回答結果を処理し、個人ごとに結果票を作成し、個別に封かんしたものを事業者に送ります。高ストレス者に該当する場合は結果票に医師面接を勧奨する文言が記載されていたり、医師面接を案内する文書が入っていたりします。
- 事業者はその結果票を労働者に配布します。
紙の場合、どうしても調査票の回収や結果票の配布に事業者が入ってきますが、個人の回答内容や結果は会社の担当者に見られないように配慮されていることが一般的です。このような仕組みになっていない場合は注意が必要です。
また、労働者に結果票を配布する際に注意していただきたいことがあります。外部委託先によっては、高ストレス者の場合に封筒の厚みが異なることがあります。結果票を配布する際には、机の上に置きっぱなしにしないようにするなど、なるべく他の人に封筒を見られないよう配慮が必要です。
実際にストレスチェックを実施する場合は、実施の流れを外部委託先に確認してください。
受検の際の留意事項
なお、受検の際には以下の点に留意してください。
- 業務命令のような形で強要しないようにしましょう。健康診断と違い、労働者にストレスチェックを受検する義務はありません。強要や強制と受け取られるような態様で受検を促すことは避けましょう。
- 業務時間中に受検できるよう配慮しましょう。社長や管理職が、業務時間中にストレスチェックの回答をすることを咎めたり、叱責するようなことのないようにしましょう。
結果通知の内容
結果通知の内容は外部委託先によって異なりますが、必ず通知が必要な項目と、通知がのぞましい項目があります。
【必ず通知させなければならない事項:個人のストレスチェック結果】
- 個人のストレスプロフィール
- 高ストレス者に該当するか否か
- 面接指導を受ける必要があるか否か
※面接指導対象者に対しては面接指導申出の勧奨および申出窓口、申出方法
【通知させることが望ましい事項】
- セルフケアのアドバイス
- 面接指導以外の相談窓口
セルフケアのためのアドバイスや面接指導以外の相談窓口については通知がのぞましいこととなっており、必ずしも通知が必要なわけではありません。ただし、ストレスチェック制度が機能するためにはこの2つを通知することはとても重要です。
一般に、ストレス反応が高かったり、高ストレス者と判定された場合、①医師面接を申し出る、②カウンセリングなど外部の相談窓口を利用する、③リラクセーションなどセルフケアを図るといった対処があります。ストレスチェック制度では医師面接の実施が義務付けられていますが、この医師面接の申出をする労働者の割合はきわめて少ないというデータがあります。労働者からすると、わざわざ名前を出して会社に申し出なければならなかったり、医師との予定を調整したうえで面接に出向く時間も確保しなければならず、利用のハードルは高いです。会社に知られずに利用できるカウンセリングや、セルフケアの方法が周知されていれば、医師面接を利用したくない労働者でもストレスに対処できる可能性が高くなります。
労働者に対して、ストレスチェックの結果だけでなく、面接指導以外の相談窓口やセルフケアに関する情報提供があるか、外部委託先に確認しましょう。
社労士 山中健司
東京都社会保険労務士会
この記事の執筆者:社労士 山中健司
社労士の業務を通じて、従業員が安心して働ける職場作りをサポートします。また、人材マネジメントや健康経営に関する知見を活かし、従業員が健康で思い切り働ける環境作りをサポートすることで企業の生産性向上にも貢献いたします。



