現状、50人未満の小規模事業場におけるストレスチェックの実施状況はどのようになっているのでしょうか。企業におけるメンタルヘルス対策への取組状況は、毎年「労働安全衛生調査」で調査が行われています。
事業所規模(50人以上/10~49人)によるメンタルヘルス対策の取組状況をグラフ化すると、以下のようになります。
- 「メンタルヘルス対策に取り組んでいる」の項目では、50人以上:91.3%に対して10~49人:59.1%となっています。
- 「ストレスチェックの実施」は50人以上:81.7%に対して10~49人:34.6%。「職場環境等の評価及び改善(ストレスチェック集団分析を含む)」は50人以上:67.2%に対し10~49人:24.9%となっています。
やはり50人未満の事業場ではストレスチェックの実施が義務付けられていないためストレスチェックを実施している事業所の割合が低く、それに伴ってメンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合も低くなっている可能性が考えられます。
また留意しなければならないのは、ここでの小規模事業場は「50人未満」ではなく「労働者数10~49人」であることです。そもそも労働安全衛生調査は労働者数10人以上の事業場が調査対象となっており、労働者数が10人に満たない事業場は調査の対象ではありません。労働者数10人未満の事業場は10~49人よりもさらにストレスチェックを実施している割合は低いと考えられます。今後ストレスチェックが義務付けられる「50人未満の事業場」での現状の実施率は、本資料の34.6%からさらに低いものと考えられます。

社労士 山中健司
東京都社会保険労務士会
この記事の執筆者:社労士 山中健司
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