昨日ですが、私が修了したMBAの人材マネジメントに関するワークショップのアルムナイ会(同窓会)があり、参加してまいりました。私は社会人経験後に一橋大学大学院商学研究科MBAコースを修了しましたが、2年次には守島基博先生(現在は学習院大学教授)のもとで人材マネジメントを学びました。
卒業生同士、また先生との旧交を温める目的もありましたが、さすがアカデミックな方々の集まりのため、前半では人的資本経営をテーマとして守島先生の講演を拝聴し、参加者同士でのディスカッションもあり、いろいろな気づきを得ることができました。
興味深かった点は、
人的資本とは、その概念を構築したゲイリー・ベッカー教授によれば「個人がもつ才能、能力、知識、健康といった総合的な生産能力」とされますが、「個人がもつ」という点が他の資本とは決定的に異なり、経営者や人事はこれを理解する必要があるという点でした。他の資本(お金や生産設備、知的財産権といったもの)は基本的に企業が所有しており、経営者が意のままに操ることができるのに対し、人的資本の所有者はあくまで個人(従業員)であり、従業員が「この会社で働きたい」と思ってもらわないといとも簡単に流出してしまう性質のものである、ということでした。
したがって現在の会社の人的資本というのは確定的なものでなくきわめて流動的で、今いる従業員の生産性を高めることが重要である一方で、従業員の定着を図ることも同じように重要である、というのが私の理解です。
今後は情報開示などますます人的資本に対する注目が集まっていくと予想されますが、社会や行政の動きを見ながらも本質的には何が大事なことなのか、の視点は持っておきたいと思います。
社労士 山中健司
東京都社会保険労務士会
この記事の執筆者:社労士 山中健司
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