2025.09.05

労働基準監督署への報告について

常時使用する労働者50人以上の事業場は、労働基準監督署へストレスチェックの報告義務があります。今回はこの報告についてまとめます。

法令上の定め

ストレスチェックの労基署への報告については、労働安全衛生規則第52条の21に定められています。

(検査及び面接指導結果の報告)
第52条の21 常時50人以上の労働者を使用する事業者は、1年以内ごとに1回、定期に、心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書(様式第6号の2)を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

「事業者は」とありますが、労働安全衛生法では原則的に「事業場」が適用単位となります。したがってこの労基署への報告も会社全体ではなく、事業場単位で報告する義務があります。
ストレスチェックを実施しないことについての罰則はありませんが、この労基署への報告は違反すると罰則の対象(50万円以下の罰金)となります。ストレスチェックを実施しなくても、この報告書を提出する必要があります。
ただし、50人未満の事業場にはこの報告義務が課されていません。

報告書に記載する内容

報告書は上記の帳票(様式第6号の2)に必要事項を記入して報告します。報告書に記載する事項(主なもの)は以下のとおりです。

検査実施年月

ストレスチェックを実施した年月を記入します。複数の月にまたがって実施した場合は最終月を記入します。1年に複数回実施している場合は、そのうち1回分のみを記入します。

在籍労働者数、検査を受けた労働者数

在籍労働者数は、ストレスチェックの実施時点でのストレスチェック実施義務の対象となっている者の数です。ここで注意するべきなのは、法律で実施義務の対象となっている者という点です。企業の中には、所定労働時間がフルタイムの4分の3未満の方や派遣労働者など、実施義務の対象にはなっていなくてもストレスチェックの対象にしている例がありますが、その場合は、これらの者を除いて集計する必要がありますので注意してください。検査を受けた労働者数についても同様です。

検査を実施した者(実施者)/面接指導を実施した医師

それぞれ、事業場選任の医師/事業場所属の医師(等)/外部委託先の医師(等)から選択します。複数関わっている場合は、主なものを1つ選択します。

面接指導を受けた労働者数
集団ごとの分析の実施の有無
産業医の署名

ストレスチェックの実施者や面接指導に関わっているか否かに関わらず、産業医が署名します。産業医の職務にはストレスチェックと面接指導に関する事項が含まれており、少なくとも報告の内容は産業医にも知っておくべきものだからです。

報告の方法

  • 労基署へ直接提出
  • 郵送
  • 電子申請

の3つがあります。ストレスチェックを含め、労働安全衛生法関係の帳票については便利な入力支援サービスがあります。直接提出や郵送する場合の帳票の作成は、ここを利用すると比較的簡単に帳票の入力、作成ができます。電子申請する場合は、e-Govから行います。
■労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス
https://www.chohyo-shien.mhlw.go.jp/

社労士 山中健司

社労士 山中健司

東京都社会保険労務士会

この記事の執筆者:社労士 山中健司

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