2025.08.21

第8回ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会を傍聴させていただきました

去る8月20日(水)、厚生労働省で第8回ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会が行われました。私はオンラインで傍聴させていただきました。主に小規模事業者向けのストレスチェック実施マニュアル作成について、進め方と論点の確認が行われました。

今後のスケジュール(ストレスチェック義務化拡大の施行日)

今回の労働安全衛生法改正のうち、ストレスチェック部分の施行日については「公布後3年以内に政令で定める日」とされています。まだ正式に発表されていませんが、今回の会議資料で示されたスケジュールによると、令和10年(2028年)4月頃となる可能性が高いようにみえます。

またこの資料によると、小規模事業者向けのマニュアルを令和7年度末(2025年度末)に公表し、その後2年間ほどを周知期間とする予定のようです。

小規模事業者向けマニュアルでの論点

小規模事業者での義務化にあたっては、現在のストレスチェック実施マニュアルに対して、以下の点について検討が必要であることが確認されました。

  • 関係労働者の意見を聴く機会の活用
  • 事業者の関わり方及び外部委託先の適切な選定
  • 調査票(項目数、調査形態等)
  • 面接指導
  • 集団分析・職場環境改善の対応
  • 労働者のプライバシー保護
  • 10人未満等の特に小規模な事業場におけるストレスチェック制度の実施

「関係労働者の意見を聴く機会の活用」については、50人未満の事業場は衛生委員会の設置義務が無いことから、ストレスチェックの実施方法等についてどのような場で関係労働者の意見を聴くのかといった点について、一定の指針が示されるものと予想されます。
また、「外部委託先の適切な選定」については外部機関をより適切に選定できるよう、マニュアルで示されているチェックリストの見直しや外部機関の認定制度を設けてはどうかといった意見がありました。
その他の論点も含め今年度いっぱいで検討・審議され、今年度末に小規模事業者向けのマニュアルが公開される予定のようです。

4分の3基準に満たない労働者への対応

今回の会議で意見が多かったのは労働時間がいわゆる4分の3基準に満たずストレスチェックの対象にならない労働者への対応でした。現在の基準でストレスチェックの対象になるのは、1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上である労働者となります。50人未満の事業場で働く労働者約3000万人のうち、2000万人はパートタイムなどでこの4分の3基準を満たさず、現在の基準ではストレスチェックにならないが、果たしてそれでよいのかとの意見が多く出されました。4分の3基準は定期健康診断の対象と同じで、ストレスチェックがそれを踏襲した形ですが、今後の議論によっては50人以上の事業場でのストレスチェック運用や定期健康診断の対象者基準にも影響が出るかもしれません。

(参考)厚生労働省「ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38890.html

社労士 山中健司

社労士 山中健司

東京都社会保険労務士会

この記事の執筆者:社労士 山中健司

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