今回は、「職場環境改善」(小規模向けマニュアルP.27~28)について見ていきます。
職場環境改善とは
事業者には、集団分析の結果を活用して、職場環境の改善に取り組むことが努力義務として定められています。
職場環境改善の一般的な流れは、以下のようになっています。

- 実施者の所属する外部機関から集団分析の結果が提供され、ストレスチェックの実務担当者が結果を入手する
- 実務担当者は、経営者や人事担当部門に会社全体の結果を報告する
- 管理監督者へは担当部署の分析結果をフィードバックする
外部機関によっては、外部機関の担当者が経営者や人事部門へ報告することもあります。
管理監督者へのフィードバックは、実務担当者から行われることもあれば、上司である役員などから伝達することもあります。とくに、初めて集団分析の結果をフィードバックする際には、資料だけ渡されても見方がわからないことが多いので、説明会などを行って結果の見方や活用について説明したうえで、結果を配布する方法が一般的です。
集団分析の結果を受け取った管理監督者は、自分の担当部署の職場環境改善を検討し、アクションプランを立てて、実行します。
職場環境改善の取り組み事例
小規模事業場向け実施マニュアルでは、集団分析結果を使った職場環境改善の取り組み事例が紹介されています。
| 業種 | 労働者数 | 課題 | 対応 |
| 技術サービス業 | 110名(事業場単位) | 業務の量や質によるストレス負荷が高い場合 | 業務効率化の方法を検討 |
| 鉱業、採石業、砂利採取業 | 25名(事業場単位) | 「職場環境によるストレス」が高かった →夏場高温状態になっていることが判明 |
スポットクーラーを設置 |
| 製造業 | 75名(事業場単位) | 身体的負担と職場環境(騒音、証明、温度、換気) |
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| 建設業 | 1,000名以上(企業単位) | 先輩社員の言葉遣い | ハラスメント防止研修 |
| 製造業 | 約1,000名(事業場単位) 79名(部署単位) |
上司のサポート | グループごとにサブリーダーを配置し、細かい指示を代行 |
| 製造業 | 150名(事業場単位) 26名(部署単位) |
同僚のサポート |
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フィードバックの留意点
さて、集団分析結果を管理職や従業員にフィードバックする際の留意点は3点あります。
結果の公開範囲を決めておく
集団分析の結果は、管理職だけでなく一般の従業員も様々な意味で興味があるものです。すべての部署の結果を無制限に公開してしまうと、こちらの部署は高ストレスでブラックである、とか、こちらの部署は仕事をしていない、などの評判につながり、思わぬハレーションを引き起こすことがあります。集団分析結果の公開は管理職までとするとか、役員以外の管理職には自部署の結果のみフィードバックするなど、結果の公開範囲をあらかじめ決めておき、決められた範囲以外には公開しないようにしましょう。
犯人探しをしない
集団分析の結果をフィードバックすると、「高ストレス者は誰か」にばかり注目する方がいます。もちろん部下を気にかけていただくことは管理職として重要ですが、改善を検討するうえでは、個人に注目するのではなく「組織」の課題に目を向けて、「組織」の課題をどうやって解決するかという観点で考えていただく必要があります。少し違った言い方をすれば、組織のメンバーが共通してストレスと感じている要因があれば、それをどうやって取り除くかを考えるのが管理職の役割であるということです。
過度に悲観的にならない
集団分析の結果を見ると「この結果は全て自分の責任ではないか」と考える管理職もいます。職場のストレスは現場の管理職でコントロールできる要素だけではなく、事業が置かれた環境や会社内での位置づけ(力関係)に影響されることもありますし、メンバー個人の性格傾向やプライベートにおけるストレスの影響も受け、実にさまざまな複合的要因の結果を表しています。集団分析の結果は管理職の成績簿ではないので、自分の組織のストレス状態が悪くても、過度に自責的にならず、自分がコントロールできる範囲にフォーカスして改善を考えることが必要です
社労士 山中健司
東京都社会保険労務士会
この記事の執筆者:社労士 山中健司
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