従業員(部下)がメンタルヘルスの不調による休職や離職を防ぐためには、不調のサインに早めに気づいて対処することが非常に重要になります。予防医学における二次予防に相当し、早期発見と早期対応により病状の重症化を防ぐというものです。
一般的に、メンタルヘルス不調の初期症状は「精神症状」「身体症状」「行動に現れる症状」に分類されます。
- 精神症状
・やる気が出ない
・気持ちが落ち込む
・イライラする
・何事にも興味や関心がわかない
・常に不安を抱えている 等 - 身体症状
・食欲がない
・腹痛や胃痛がある
・頭痛がある
・めまいや耳鳴りがする
・動悸がする 等 - 行動に現れる症状
・飲酒の量が増えた
・登校や出社を拒否する
・仕事のミスが増えた
・急に泣くようになった
・服装の乱れが目立つようになった 等
上記のような症状がメンタルヘルス不調の初期症状であり、これらのサインに気づくことが重要ですが、こちらに示したのはほんの一例であり、いずれも非常に多岐にわたります。これらを全部覚えるのは至難の業です。
そこで、とくに管理職がチェックしやすい行動面の症状を中心に覚えやすくした語呂合わせとして、有名なのが「ケチな飲み屋」です。医学博士の鈴木安名氏が2006年頃に提唱したとされています。
け:欠勤
ち:遅刻・早退
な:泣き言を言う
の:能率の低下
み:ミス
や:辞めたいと言う
この語呂合わせが素晴らしいのは、覚えやすいということです。
「ケチな飲み屋」というフレーズを人生で使ったことのある人はほとんどいないと思います(「飲み屋のケチな客」とかそんなフレーズは出てきたことがあるかもしれません)。特徴的なワードである分、記憶に残りやすい性質があります。
そして、フレーズの6文字さえ思い出すことができれば、それらを頭文字にした不調サインを想起するのはそれほど難しいことではないと思います。
とくに部下をお持ちの管理職の方はこの「けちなのみや」のサインに気づいたら、まずは他にもいつもと変わった様子が無いか、チェックしてみることをおすすめします。
社労士 山中健司
東京都社会保険労務士会
この記事の執筆者:社労士 山中健司
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