先日、「厚生労働白書」令和6年版が発表されました。今回のサブタイトルは『こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に』となっており、第一部で社会環境や個人の意識の変化、こころの健康に関する現状の取り組み、今後に向けての提言を紹介する内容でした。こころの健康はWHOによると「人生のストレスに対処しながら、自らの能力を発揮し、よく学び、よく働き、コミュニティにも貢献できるような、精神的に満たされた状態」とされており個人の幸福感、ウェルビーイングにとって不可欠な要素です。またこころの健康を害することは本人にとってだけでなく、家族や周囲の人々にとっても不幸なことで、企業にとっては生産性の損失につながる重要な問題です。
白書では、こころの健康に対する人々の意識として、「健康にとって最もリスクになること」の回答別割合が紹介されました。2024年の調査でも「生活習慣病を引き起こす生活習慣」がトップなのは変わりませんがその割合は減っており、逆に「精神病を引き起こすようなストレス」は2024年に15.6%と、2004年調査の5.0%から3倍以上に増加しました。
一方、「ストレスや不安感は時々ある」または「ストレスや不安感はある、またはかなりある」が「特に何もしていない」人の割合は全体で69%ということがわかりました。とくに40代以上の各世代では7割以上となっており、中高年においてはその傾向がとくに強いようです。
ストレスや不安感を感じることはあっても対処する必要がないと思っている、またはどう対処していいかわからないという人が多いのではないかと思います。散歩などで体の健康を維持するように、意識してこころの健康を維持する習慣を取り入れてみてはいかがでしょうか。
こころの健康を維持する方法はいろいろありますが、今回はストレス対処の基本となる「3つのR」についてご紹介したいと思います。「3つのR」とは、以下の3つです。
- Rest(休息、休養)
- Recreation(趣味娯楽や気晴らし)
- Relaxation(リラクセーション)
Restは休息であり、基本は睡眠です。また、夜の睡眠だけでなくランチ後の軽い昼寝(パワーナップ)やお茶を飲みながら一服するのも立派なRestです。
Recreationは運動や旅行など、好きなことをして楽しむことです。楽しいことに夢中になっていると、仕事のことや悩んでいたことを忘れることができたという方は多いと思います。
Relaxationは少し意識しないと実行が難しいかもしれません。基本は体やこころの緊張をゆるめることで、代表的な手法としては、以下があります。
- 入浴
- ストレッチ
- アロマテラピー
- 呼吸法
仕事や家事が忙しくなるとこの3つのRが不足しがちになります。ストレスや不安が気になるようであれば、まずはこの3つのRを意識してみることをおすすめします。
社労士 山中健司
東京都社会保険労務士会
この記事の執筆者:社労士 山中健司
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