ストレスチェックの実施時期について

今回は、ストレスチェックの実施時期、実施期間(スケジュール)についてまとめます。

法令上の定め

「1年以内ごとに1回」

労働安全衛生法では、会社はストレスチェックを「1年以内ごとに1回」実施しなければならないとされています。前回の実施から1年以内に実施すればよい、ということになります。ですので、とくに実施時期が指定されているわけではありません。
ちなみに「1年以内ごとに1回」というのは定期健康診断も同じように定められていますので、定期健康診断の運用が参考になります。「1年以内ごとに1回」を厳密に適用しようとすると、たとえば今年の4月1日に健康診断を受けた場合、翌年は3月31日までに受けなければならないとする解釈もありますが、主旨としては「毎年一定の時期に」という意味ですので、翌年の健康診断が4月2日だとしてもただちに指導の対象になるわけではありません。ストレスチェックも同じように考えて差し支えないと思います。

労働者の意見聴取

ストレスチェックの実施にあたっては、労働者側の意見を聴取する必要があります。大企業向け実施マニュアルでは「衛生委員会での調査審議」、小規模事業者向け実施マニュアルでは「関係労働者の意見の聴取」がこれにあたります。実施時期についても労働者の意見を聴いて決める必要があります。

実施時期を決めるときに考慮するポイント

以下では具体的に実施時期を検討する際に考慮する点を挙げていきます。

・繁忙期を避ける

忙しい時期はストレスチェックの回答が後回しになりがちになり、回答率が低くなるおそれがあります。また、従業員が適当に回答してしまうおそれもあります。

・夏季休暇、年末年始など長期の休暇を避ける

ストレスチェックは就業時間内に行うのがのぞましいですが、従業員にPCやスマホを持たせていると、休みの日に回答されてしまうケースがあります。休日は基本的に仕事から離れた状態で普段のストレス状態とはいえないため、のぞましくありません。
通常の週末をはさんでしまうのは避けられないですが、夏季休暇や年末年始などの長期の休みの時期は避けたほうがよいでしょう。

・人事異動、組織改編の時期を避ける

ストレスチェックの集団分析結果を職場改善に活用する際に、いざ取り組みを始めようとするとその組織は改編により無くなったということがあります。ストレスチェックの実施時期だけでなく、職場改善活動を行う時期まで大きな組織改編が無いように実施時期を設定する必要があります。

・他の調査時期を考慮する

従業員からするとストレスチェックをはじめ満足度調査や組織風土調査、ハラスメント調査など、「調査モノ」というものは面倒なもので、これらの依頼が同じ時期に来ると不満の種になります。社内で行われている他の調査時期とは重ならないことがのぞましいです。ただし、ストレスチェックとエンゲージメント調査など、関連性が高く2つの結果を併せて見る必要がある場合などはあえて同じ時期とする考え方もあります。

・毎年同じ時期がのぞましい

ストレスチェックの集団分析は2年目以降、前回結果との比較が可能になります。ただし前回と同じ時期でないと、業務の状況が異なるため正確な比較が難しくなることがあります。ストレスチェックの集団分析結果を活用することを考えると、前回と同じ時期に実施することがのぞましいです。

実施期間の長さ

実施期間(従業員が回答できる期間)は2週間~3週間とすることが多いです。ただし大きな会社の場合や、紙で回答する場合は回収に時間かかかることも考慮して1か月程度実施期間をとる会社もあります。
外部委託先によっては、回答の進捗状況(回答率)を見て当初の実施期間を延長できることもあります。ただし、委託先によっては延長に対応していないこともあるので、事前に委託先に確認しておきましょう。

個人的におすすめなのは実施期間の終了日を月末に設定することです。従業員や、未回答者のフォローをする管理職にとって記憶に残りやすいため、「月末までに回答しなきゃ」と締切を意識しやすくなります。

おすすめのスケジュール

最後にご参考として、ストレスチェックの実施スケジュールの例を以下に示します。
毎年4月に組織改編、人事異動を行う会社の場合です。従業員規模は100名程度で、全員Webもしくはスマホによる回答が可能なものとします。会社として初めてのストレスチェックではなく、外部委託先は前回と同じ会社とする場合です。

以下、補足です。

  • ストレスチェックの実施は6月後半の2週間としました。「6月末まで」とすることによって従業員、管理職に締切を意識してもらいやすくするねらいです。
  • 委託先にもよりますが、実施開始の2~3週間前までに対象者データなど必要な情報を委託先に送る必要があります。5月前半で開始に必要なデータを揃え、委託先に送ります。
  • 7月:申出があった従業員に対して医師面接を実施します。早い場合はストレスチェック実施期間中に申出があることもあります。
  • 集団分析の結果は、ストレスチェック終了後3~4週間後に委託先から提供されることが一般的です。委託先の社員による報告会の形式で行われることもあります。
  • 職場環境改善の取り組みとして、管理職へ集団分析結果をフィードバックすることがのぞましいです。ただし人によってとらえ方が異なることが多いので、最初のうちは資料をただ配布するのではなく、管理職向けの研修や説明会を行ったうえで配布することがのぞましいです。
社労士 山中健司

社労士 山中健司

東京都社会保険労務士会

この記事の執筆者:社労士 山中健司

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