ストレスは少なければ少ないほど良いか

ストレスチェックは現在のストレス状況をチェックするものですが、「ストレスは少なければ少ないほど良い」のでしょうか。必ずしもそうとは限りません。

この点について有名なのが「ヤーキーズ・ドットソンの法則」です。これは1908年に心理学者のロバート・ヤーキーズとJ.D.ドットソンがネズミを用いた実験で発見したものです。元となった実験では、ネズミに対して与えた電気ショックの強さと学習効果の関係を調べました。これを簡易的に示すと以下のような関係になります。


横軸のストレスレベルが低すぎたり、また高すぎたりするとパフォーマンスが下がります。パフォーマンスレベルが最大になるのは、ストレスレベルが適度な程度であるときとなります。この関係はタスクの難易度によっても変わりますが、一定の複雑さを持つタスクを与えた場合にはこのような関係になるとされています。

個人においても組織においても、ストレスレベルが極端に低い場合、メンタルヘルスの問題が発生するリスクは低くなりますが、一方でパフォーマンス(生産性)が低下している可能性があります。ストレスチェックはメンタルヘルス不調の未然予防が第一の目的ですから、ストレスが低いに越したことはないのですが、メンタル面以外に目を向けたときに、個人や組織が望ましい状態になっているかはまた別の問題です。

最近では「ゆるい職場」「ゆるブラック」という言葉があるように仕事のストレスが極端に低く、従業員から物足りないと感じられる職場も増えてきています。過剰なストレスは改善しなければなりませんが、極端にストレスの低い状況は組織のパフォーマンスや個人の成長機会という意味ではのぞましくありません。ストレスチェックの集団分析で極端にストレスが低い結果が出たら、いわゆる「ゆるい職場」になっていないか、疑ってみることも必要だと思います。

社労士 山中健司

社労士 山中健司

東京都社会保険労務士会

この記事の執筆者:社労士 山中健司

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