2026.05.18

小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアルについて⑫-集団ごとの集計・分析(集団分析)-

今回は、集団ごとの集計・分析、いわゆる「集団分析」(小規模向けマニュアルP.26)について見ていきます。

ストレスチェックの集団分析とは

ストレスチェック制度の目的は、労働者のメンタルヘルス不調の未然防止です。そのために、

  • 労働者自身のストレスへの気付きを促す
  • ストレスの原因となる職場環境の改善につなげる

ことが基本的なアプローチとなります。そして、後者の職場環境の改善の手段として重要なのが、ストレスチェックの集団分析です。

集団分析とは、個人のストレスチェック結果を一定の人数の集団ごとに集計・分析し、職場ごとのストレス状況を把握するものです。職場や部署単位で集計することにより、高ストレス者の多い部署を明らかにしたり、部署ごとの組織課題を明らかにします。大企業の場合は性別や年齢、役職や職種ごとの分析を行い、属性によるストレス状況の違いを人事施策や研修に反映することもあります。

留意すべき点としては、集団分析の結果から、個人の結果が特定されないようにするという点があります。人数が少ない集団についてまで分析してしまうと、集団分析の結果から個人の結果が特定されてしまうおそれがあります。そのため、10人を下回る集団については、原則として分析はしないこととなっています。この10人というのは、在籍している労働者数ではなく、実際に回答した人数でカウントする必要があります。

なぜ集団分析が必要か

職業性ストレスモデルの考え方を参照すると、職場のストレス要因が起点となり、これが大きければ大きいほど労働者のストレス反応が高くなるという関係があります。ところが、職場のストレス要因(仕事の量や対人関係、仕事の裁量など)は労働者個人ではどうしようもないものが多く、これらは主に会社側・経営側でコントロール、調整する必要があります。そのため、ストレスチェックの集団分析を行い、従業員が共通して感じている課題、いわば組織の課題を確認し、この課題に対して対策を打つことが未然予防のためには重要となります。

仕事のストレス判定図

ストレスチェックの調査票に決められたものが無いことから、集団分析の方法としてとくに決められたものはありません。ただし厚生労働省が推奨する職業性ストレス簡易調査票を使用した場合は、集団分析の方法として「仕事のストレス判定図」を作成し評価する方法が一般的です。
「仕事のストレス判定図」はストレスチェックの中で、

  • 仕事の量的負担
  • コントロール
  • 上司の支援
  • 同僚の支援

の4つの項目の数値から、従業員が健康を害するリスクの程度を示す「総合健康リスク」を算出して評価するものです。

ただし、仕事のストレス判定図は4つの項目のみから評価を行っている点に注意が必要です。従業員がメンタル不調に陥る原因は4つの項目以外にも職場の対人関係など、さまざまです。集団分析の結果を見るときには職場の対人関係など他の各因子の結果もあわせて確認することがのぞましいです。
実際にどのような方法で分析するのかについては、ストレスチェックの外部委託先に確認してください。

社労士 山中健司

社労士 山中健司

東京都社会保険労務士会

この記事の執筆者:社労士 山中健司

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